今やLINEは、日本国内で9,700万人以上が利用するコミュニケーションツールとなりました。個人間の連絡手段としてだけでなく、企業や店舗が顧客とつながるための強力なマーケティングツールとしても注目を集めています。多くの事業者にとっては、コストを抑えながら高い効果が期待できる手法として、LINE公式アカウントの活用が加速しています。
しかし、「とりあえず始めてみたけれど、何をすればいいかわからない」「配信しても反応がない」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか?
この記事では、LINEマーケティング初心者が最初にやるべき3つの基本ステップである、「ファネルの設計」「集客導線設計」「配信設計」について、わかりやすく解説していきます。
1. ファネルの設計
LINEマーケティングを成功させるには、まず「ファネル設計」が必要不可欠です。ファネルは、見込み客がどのようなプロセスを経て商品やサービスを購入・リピートするのかを可視化し、それぞれの段階に適したアプローチを行うための戦略的な枠組みです。これを事前に設計しておくことで、無駄な配信や的外れな訴求を避け、ユーザーとの信頼関係をスムーズに築くことができます。
ファネルとは?
ファネルとは「漏斗(じょうご)」のことで、見込み客が最終的に商品やサービスを購入するまでの一連のプロセスを段階的に表したものです。例えば以下のような段階があります。
- 認知(あなたのビジネスを知ってもらう)
- 興味・関心(価値を感じてもらう)
- 比較・検討(他と比較して優位性を認識してもらう)
- 購入(実際の成約)
- リピート・ファン化(再購入や紹介)
LINEマーケティングにおいても、ユーザーがどの段階にいるのかを把握し、それぞれに合ったコンテンツを設計することが重要です。
なぜファネル設計が重要なのか?
LINEはユーザーとの心理的距離が非常に近いため、配信の内容やタイミングがユーザーの反応に直接影響を与えます。ここでファネル設計が不十分だと、ユーザーの現在の興味・関心にそぐわないメッセージを届けてしまい、ブロックや離脱といったネガティブな結果を招く可能性が高まります。
例えば、まだあなたのビジネスを知ったばかりの“認知段階”のユーザーに対して、いきなり商品購入を促すようなセールスメッセージを送っても、心理的なハードルが高すぎて効果は期待できません。むしろ「売り込みが強い」と感じられてしまい、信頼関係の構築すら始まる前に離脱されてしまうこともあります。
これはまるで、初対面の人にいきなり「結婚してください」とプロポーズするようなものです。お互いのことを何も知らない状態で突然そんな重い言葉を投げかけられても、多くの人は驚いて身を引いてしまいますよね。まずは挨拶をし、会話を重ね、信頼を築いてから、関係性に応じたステップを踏んでいくことが大切なのです。
一方で、段階ごとに適切なコンテンツを提供することで、ユーザーの関心と信頼を少しずつ高め、最終的な購入やリピートに自然と導くことができます。つまり、ファネル設計とは「見込み客を育てていくための地図」であり、LINEという強力なチャネルを最大限に活かすための土台となるのです。
ファネル設計の実践ステップ
A) 商品やサービスのターゲットを明確にする
まずは、あなたの商品やサービスが「誰の、どんな悩みを解決するものなのか」を明確にしましょう。
そのためには、ペルソナ(理想的な顧客像)を、あたかも実在する人物であるかのように細かく設計することが重要です。年齢や性別、職業、生活スタイル、悩みや価値観まで具体的に描写することで、発信すべきメッセージが自然と明確になります。
例えば、あなたが整体院を運営している場合、「37歳のデスクワーク中心の男性で、毎日10時間以上パソコン作業をしており、慢性的な肩こりに悩んでいる。最近は寝つきも悪く、仕事のパフォーマンスが落ちてきたことに危機感を感じている」といったように、まるで目の前にいる一人のお客様を想像するように具体化していきます。
このような詳細なペルソナ設計ができると、LINEでの配信内容や誘導のトーンもその人に合わせて最適化できるため、より高い反応率が見込めます。逆に、誰にでも当てはまるような曖昧なターゲット設定では、情報が薄まり、印象に残らない発信になってしまうのです。
B) ターゲットの悩み・欲求を洗い出す
次に、そのペルソナが抱える悩みや、潜在的な欲求をリストアップします。肩こりに悩む人であれば、「毎日肩が重くて仕事に集中できない」「マッサージしてもすぐ戻る」「根本から改善したい」といった声があるはずです。さらに、「このままじゃ将来が不安」「子どもと遊ぶ体力もない」といった感情面の背景にも目を向けましょう。こうした声を具体的に言語化することで、ファネルの各段階でどんなメッセージやオファーが有効かが見えてきます。
また、実際の顧客アンケートやGoogleの検索キーワードなどを活用すると、リアルな悩みや言葉が得られるのでおすすめです。
C) 各段階で提供する情報やオファーを整理する
- ファネルの段階ごとに、提供すべき情報やアプローチを設計します。
たとえば以下のように段階に応じた配信内容を整理できます。
- 認知:SNSやブログでの悩み共感・あるあるネタの投稿
- 興味・関心:LINE登録特典として「肩こり解消ストレッチPDF」や「セルフケア動画」などの無料プレゼント
- 比較・検討:口コミやビフォーアフター事例、競合との違いを説明する投稿
- 購入:初回限定クーポンや予約の案内、期間限定キャンペーン
リピート・ファン化:施術後のアフターケア情報、誕生日クーポン、紹介制度など
このように、段階に応じた情報をあらかじめ整理しておくことで、配信が場当たり的にならず、スムーズな導線を作ることができます。
D) LINE公式アカウントの「リッチメニュー」「ステップ配信」などを活用して段階的にナビゲートする
- 設計したファネルに沿って、LINEの各機能を活用してユーザーをナビゲートしていきます。リッチメニューでは、ユーザーの関心や状況に応じて選択肢を用意し、「初めての方はこちら」「症状別のセルフケア」など複数の導線を提示できます。また、ステップ配信機能を使えば、新規登録者に対して以下のような自動メッセージを順序よく送ることができます:
登録直後:サンクスメッセージと特典(PDFや動画など)の配布
登録1〜2日後:他のお客様の声やビフォーアフターを紹介
登録3〜5日後:初回割引や予約の案内
登録1週間後:他の施術メニュー紹介やLINE限定クーポンの案内
このように段階を意識して配信することで、ユーザーとの関係性を少しずつ築きながら、自然な形で購入や来店へと導くことが可能になります。
2. 集客導線設計
いくらLINE公式アカウントを作成しても、フォロワーが集まらなければ意味がありません。そこで必要になるのが「集客導線設計」です。
LINE登録への自然な流れをつくる
LINEは、ユーザーにとって「家族や友人とつながるプライベートな空間」です。そこに企業や店舗が入り込むには、押しつけがましさを感じさせず、「このLINEなら登録してもいいかも」と思ってもらえるような自然で納得感のある理由づけが必要です。
例えば、「登録するだけで限定クーポンがもらえる」「LINE登録者限定で無料プレゼント」など、登録することで得られる明確なメリットを提示することで、ユーザーは自発的に行動しやすくなります。また、登録後にどんな情報が届くのか、どのくらいの頻度で配信されるのかといった内容も、事前に伝えておくと信頼感が高まり、登録への心理的ハードルが下がります。
逆に、「とにかく登録して」といった一方的な訴求では、警戒されてスルーされたり、最悪の場合ブロックされてしまうこともあるため注意が必要です。
SNS(Instagram、Xなど)
- ストーリーズで「限定クーポン配布中」とLINE登録を促す
- リールやショート動画でサービスの魅力と登録案内を紹介
- 固定投稿に「登録特典あり」と明記したビジュアルを使用
- プロフィールリンクにリットリンクやLINE登録URLを設定
- ストーリーズハイライトに「特典」「登録方法」などをまとめておく
- 「〇〇診断」など簡単なアンケート形式で登録誘導
- 登録者限定ライブ配信やプレゼント企画を実施
- 投稿にLINE登録者の声やレビューを掲載して信頼性アップ
- フォロー&LINE登録でのキャンペーンや抽選を実施
- X(旧Twitter)で投稿にLINEリンク付きの特典ツイートを固定表示
ホームページ・ブログ
- ポップアップバナーや記事下のCTAでLINE登録を促す
- 登録特典(例:無料PDF・限定クーポン)を明確に提示
- サイト上部に「LINE登録で〇〇プレゼント」などの常時表示バナーを設置
- ブログ記事内で読者の悩みに共感しながらLINE登録への流れを自然に組み込む
- よくある質問ページに「LINEで直接質問できます」と案内
- 記事中にQRコード画像を埋め込み、スマホから登録しやすくする
- 「LINEで最新情報を受け取る」といった登録理由を記載した専用ページを作成
- サイドバーやフッターにLINE登録ボタンを常設
- 成功事例やお客様の声と共にLINE登録の効果を紹介
- 訪問から一定時間後に表示される「EXITポップアップ」で最後の一押し
オフライン(店舗、チラシなど)
- QRコード付きPOPの設置(カウンター・棚・待合スペースなど)
- レジや商品パッケージにLINE登録案内を同封
- 会計時に「LINE登録で次回◯円引き」と案内
- チラシやDMにQRコードと特典内容を掲載
- 店舗入口やガラス面にステッカーでLINE登録をPR
- スタンプカードや会員カードにLINE誘導QRを印刷
- 接客時にスタッフから直接案内(セールストーク例を共有)
- 登録者限定の店頭イベントや抽選会を実施
- アンケート用紙に「回答後LINE登録で特典あり」と記載
- 商品と一緒に渡すパンフレット・明細に登録情報を記載
効果的なオファー設計
「LINE登録で◯◯をプレゼント!」など、登録することで得られる具体的なメリットを提示することで、登録率は大きく変わります。登録後に何が得られるのか、どんな情報が届くのかを明示しましょう。
3. 配信設計
ここまで決まったら、次に重要になるのが「配信設計」です。どんな内容を、どのタイミングで、どのように届けるかによって、ユーザーの反応は大きく変わります。
LINEでの配信には、大きく分けて以下の3つの型があります:
- 価値提供型コンテンツ
- 販売促進型コンテンツ
- 関係構築型コンテンツ
これらの配信型をバランスよく組み合わせることで、ユーザーにとって有益で魅力的な情報提供が可能となり、ブロック率を抑えながら信頼関係を築くことができます。
配信内容の種類
- 価値提供型コンテンツ
- ユーザーの悩みを解決する情報(ノウハウ、Q&Aなど)
- 業界トレンドや最新情報
- 販売促進型コンテンツ
- キャンペーンや期間限定オファー
- 新商品・サービスの紹介
- 関係構築型コンテンツ
- パーソナルなメッセージ(感謝、ご挨拶など)
- ユーザー参加型アンケートやクイズ
ステップ配信の活用
LINE公式アカウントには、あらかじめ設定した順序で自動配信できる「ステップ配信」機能があります。新規登録者に対して、以下のような流れで自動的にメッセージを送ることで、関係構築をスムーズに行えます。
- 登録直後:サンクスメッセージと特典配布
- 1日後:ブランド紹介や利用者の声
- 3日後:初回購入クーポン案内
- 5日後:人気商品の紹介とクロージング
配信の頻度とタイミング
配信しすぎるとブロックされるリスクもあるため、ユーザーにとって「価値ある情報」と感じてもらえる頻度を意識しましょう。一般的には、週1〜2回程度がベストとされています。
まとめ
LINEマーケティング初心者が最初にやるべき3つのことは、
- ファネルの設計:ユーザーの段階に合わせたメッセージを準備する
- 集客導線設計:スムーズかつ魅力的な登録導線をつくる
- 配信設計:関係構築と販売促進を意識した配信プランを立てる
これらをしっかりと設計することで、LINEを単なる連絡手段ではなく、「売上を生み出すマーケティングチャネル」に育てることができます。
まずはこの3ステップを丁寧に実践して、効果を実感してみてください。今よりもっと成果につながるはずです。
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